三体

「三体」は2008年に出版された、中国人によるSF小説で、世界最高のSF賞と言われるヒュ-ゴ-賞をアジア勢として初めて受賞した作品である。この程、やっと邦訳版が出版され、手にすることができた。

 

この作品がメチャクチャ面白い。以下、大まかな内容を紹介するので、読みたい人は、これ以降この文章を読まないでください。

 

文化大革命で親を殺され、人間社会に絶望した女性科学者が、地球外生命による人類の矯正を期待し、4光年離れた地球外生物からの電信に返信してしまう。発信源である地球を特定した三体人(地球外生命体)は地球を征服しようと、大艦隊を地球に向けて出発させる。しかし、地球に到着するのは480年後であり、これ以上、地球人の科学を発展させてはいけないと危機感を抱く。

そこで三体人が考えたのが、地球の基礎科学の発展を阻止する「智子計画」である。原子よりもはるかに小さい陽子を惑星全体を覆うくらいの2次元平面の大きさに展開して、そこに回路を埋め込んで人工知能を作り、それを3次元、4次元、5次元・・・と次元を変換してゆき、最後に陽子の大きさに戻して、地球に向けて発射する。4年かかって地球に到着したその「智子」が、基礎科学の設備を次々と使えなくして、基礎科学の発展を阻止する。

私の言っている意味がわかるだろうか。実は私自身よくわからないのだが、とにかくとんでもない計画なのである。

 

また、3つの太陽の不規則な動きにより、復活しては滅亡を繰り返してきた三体文明の滅びの歴史はすさまじい。空気も凍る極寒の世界が何百年と続いたり、巨大な太陽が地表のあらゆるものを焼き尽くしたり、3つの太陽が1直線状に並んだことにより、太陽の重力で三体文明の惑星が真っ二つになったり・・・。

 

三体は三部作であり、まだ第1部が邦訳されただけである。第2部が待ち遠しい。