平成の自分史

 平成も最後の年末を迎えている。

 

 平成の始まりは、社会人生活の始まりとほぼ一緒だった。バブル経済の絶頂期の頃である。我々の世代はあの当時、新人類とも言われ、まるで従来の日本人的価値観の枠外からやってきた異物のように揶揄されたこともあった。

 

 あの頃は、20代で結婚するのは当たり前で、30代で結婚していないと、肩身が狭いような気がした時代であった。私も20代後半で結婚し、妻は専業主婦となり、子供が2人生まれ、4人家族のありふれた標準世帯となった。

 

 バブルが崩壊し、勤めていた会社の経営も次第に傾いていった。私が勤めていた会社は高度成長期の申し子のような会社で、土地を担保に次から次と銀行から金を借りまくり、あっという間に日本一の小売業に成り上がった企業であった。会社の将来性に暗雲が垂れ込めてきたのと、頻繁な転勤を嫌い、35歳を迎える前に転職しようと決意した。

 

 辞める数年前に宅建主任者の資格を取得していたこともあり、手に職をと、不動産鑑定士の試験を受験してみようと決意した。鑑定士試験の合格体験記を読むと、短期合格者の話が多く紹介されており、会社を辞め短期合格するつもりでいたが、そう簡単に事は運ばなかった。

 最初の試験に落ち、不動産鑑定事務所に就職して、働きながら受験勉強を続けたが、現実は厳しかった。結果的には試験に合格し、鑑定士の資格を取得することができたが、当初の計画よりはだいぶ時が経過していた。

 

 不動産鑑定士になってから10年位はサラリーマン鑑定士として働いていたが、平成23年の東日本大震災を契機に独立開業を決意し、その数年後に独立を果たした。

 

 家族は子供が2人とも大学を卒業し、社会に巣立った。平成の初めに自分が社会に入り、平成の最後に息子が社会に入る。子育ても終わってみれば、あっという間であった。

 

 社会が変わり、自分を取り巻く環境も変わり、そして自分も変わった。これからの社会の変化を予想すると恐ろしいような気もするが、とにかく自分なりに生きていくしかないと思っている。