インプットとアウトプット

 外国語を学習するに当たって、インプット(聞くこと、読むこと)とアウトプット(話すこと)のどちらがより重要であろうか?

 

 最近読んだ「外国語学習の科学」(白井恭弘著 岩波新書)によると、外国語学習においてはインプット学習の方が圧倒的に重要であり、アウトプット学習の成果については研究者の間でも意見が分かれ、特にインプットが未熟なうちにアウトプットを強要すると、むしろ悪い結果をもたらすこともあるとの見解である。

 つまり、アウトプットは自分の既に知っている知識を使って何かをするということに過ぎず、アウトプットそのものは新しい言語知識の習得には役に立たないということのようだ。

 

 フェイスブックやツイッター等のSNSが広がり、現代社会はアウトプット全盛の時代である。そこにおいては一人一人が主役であり、情報の発信源でもある。情報網は無限に広がり、見知らぬ誰かの投稿が、他の誰かの行動に影響を与えたりする。

 

 しかし、SNSは特にインプットが十分ではない若い人がはまりやすく、注意が必要だ。確かに自分を外に発信したい気持ちは分かるが、インプットもせずにアウトプットばかりする人生に何か意味があるのだろうか。私が言いたいのは、アウトプットをするなということではなく、インプットとアウトプットのバランスを考えるべきだということである。

 

 イギリスの哲学者フランシス・ベーコンは次のような言葉を残している。

「読書は充実した人間をつくり、会話は機転のきく人間をつくり、書くことは正確な人間をつくる」

つまり、読み(インプット)、書き、話す(アウトプット)ことのバランスが重要だということだ。