忘れっぽい人

 忘れっぽい人とは、私自身のことである。

 

 小学校高学年の頃、クラスの中で、江戸時代の5人組制度のような決まりがあった。5~6名程の班に分けられ、誰か一人が忘れ物(例えば宿題など)をすると、班のメンバー全員が放課後に居残り学習をさせられるという共同責任を負わされた。まるで運命共同体のようであった。私は忘れ物をすることが班の中で一番多く、忘れ物をしては深く反省し、その翌日にはまた忘れ物をして、みんなを困らせた。

 

 私は人一倍忘れっぽい人間である。しかし、現在、事の大小に関わらず、他人や会社等と交わした約束や期限を忘れることは、ほぼ100%ない、と言いきることができる。人間が変わったわけではない。忘れることを前提に、忘れない仕組みを自分なりに構築しているからである。

 

 忘れやすい人のやるべき第一のことは、忘れる前に要件を片づけてしまうことである。換言すれば、忘れる原因を最小化することである。

 すぐにできることはすぐに片づけ、後回しにしない。物事を安易に後回しにすると、人生そのものが後手後手になり、結果的に大きな損をするような気がする。

 

 すぐに片づけられない要件に関しては、忘れることを前提に、思い出す仕組みを構築することが重要である。私の場合はオフィスのホワイドボードに、今現在の懸案事項、期日、直近でやるべき仕事等を洗いざらい書き出し、嫌でも自分の目に入るようにしている。また、紙の手帳とパソコンの両方でスケジュールを管理しており、いつでもどこでもスケジュールが分かるようになっている。

 

 私のような凡人は頭に頼るのではなく、仕組みに頼るのが一番である。そして、自分の短所を否定するのではなく、受け入れることにより、次のステップに進むことができるのではないかと思う。