アイロン掛け

 中学1年生の時から約37年間、ほぼ毎日と言っていいほどやり続けていることがある。アイロン掛けである。中学に入って制服になり、自分で着るワイシャツくらい自分でアイロンを掛けなさいと親に言われ、それ以来アイロンを掛け続けている。クリーニングに出すのは衣替えの時だけである。自分のシャツに自分でアイロンを掛けることは当たり前のことだと思っていた。しかし、大学生の頃、私がアイロン掛けをしているのを目撃した友人が、妙に感心し、驚いていた。大学を卒業し、社会人になってからも、会社の同僚などにアイロン掛けを目撃されることがあったが、いつも、すごいねとか、よくやるねとか、感心したような、小ばかにしたような感想を言われた。このようにして、世の中の人、特に男性であるが、日常的にアイロン掛けをする人は極めて少ないということがわかった。

 

 私にとってアイロン掛けは、ごくごく普通の日常的な習慣で、歯磨きや顔を洗うことと一緒である。面倒であろうが、なかろうが、シャツを着る限り、続いていく生活習慣である。アイロン掛けの影響かどうかはわからないが、‟自分のことは自分でやる”という意識が、いつの間にか自分の中に芽生え、そして大きく育った。人間は一人では生きていけないが、安易に他人や組織等に依存してばかりいると、生きていくための根源的な力までも失われてしまうような気がする。

 

 たかがアイロン掛け、されどアイロン掛け。私がアイロン掛けをやめる時は、たぶん私が死ぬ時であろう。

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コメント: 1
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    みちお (水曜日, 02 9月 2015 23:15)

    生半じゃない!手強い!しっかりしてますね。舌を巻きます。